生活習慣病の話
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生活習慣病という言葉を耳にしませんか?

 これまでガンや脳卒中、心疾患などを「成人病」と呼んでいましたがこれらの病気には、毎日のライフスタイルが大きく関わっていることが明らかになってきました。そのため、このような生命に関わるような重大な病気を防ぐためには、ライフスタイルの改善が必要だということから、「生活習慣病」という考え方が生まれました。「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣がその発症、進行に関与する疾患群」というのが、その定義です。日々の暮らしの中から病気を予防するという考え方がこれまで以上に大切になってきたと いうことがいえます。

生活習慣病

高血圧の原因は特定できない

 生活習慣病の中で最も多い病気です。40歳以上の4人に1人が高血圧といわれています。高血圧には2つの種類があります。

  1. 二次性高血圧 原因となる病気がはっきりとわかっているもの、原因となる病気には心臓や、血管の病気,内分泌の病気,腎硬化などがある。
  2. 本態性高血圧 原因となる病気が特定できないもの年齢が若いうちの高血圧は二次性高血圧の比率が比較的高くなっています。一方中年以後の人は,高血圧の大半は,本態性高血圧だと考えられます。高血圧と呼ばれているものの,90〜95%は本態性高血圧が占めています。原因となる病気は特定されないといっても, 高血圧の危険因子は,ある程度まではっきりとしています。

高血圧から動脈硬化へ

 高血圧だからといって、生命を直接脅かすものにはなりません。しかし高血圧が、心臓血 管系の病気を引き起こす、最も主要な原因であるということなのです,つまり,脳出血や脳 梗塞,心筋梗塞など死亡率の高い病気にかかる可能性が高くなります。 高血圧は動脈硬化を引き起し血管に強い圧力が,かかり続ける状態が,長く続くと病気に なりやすいと言う事につながります。

動脈硬化が引き起こす病気

 動脈硬化になると,どのような弊害を引き起こすのでしょうか。まず脳出血や脳梗塞があります。脳などにある細い動脈に起こった動脈硬化が進むと血管が破れ,脳出血を起こします。また,血管が詰まって血液が流れなくなると脳梗塞になります。腎臓にも細い動脈がたくさんあつまっています。ここで動脈硬化が進むと,腎臓の機能低下が起こり,腎不全となります。動脈硬化は,太い血管にも起こります。そこで発生するのが動脈瘤です。また,心臓にある冠動脈が動脈硬化になると,狭心症や,心筋梗塞をおこします。

大分類古典的分類最近の臨床分類基礎病変臨床的特徴
頭蓋内出血
脳梗塞
クモ膜下出血
脳出血
脳血栓
脳塞栓
クモ膜下出血 脳動脈瘤
脳動静脈奇形
激しい頭痛で発症し,再発率。致死率が高い,脳血管の痙攣によって神経症状をきたす事がある
脳出血 細動脈硬化
(小動脈瘤)
おもに活動時に発症し,急激に悪化する
ラクナ梗塞
(穿通枝系)
細動脈硬化 小梗塞,しばしば多発性で徐々に進行するものも多く生命予後は比較的よい
アテローム血栓性脳梗塞
(皮質枝系)
粥状硬化 安静時に発症して段階状に進行することが多くしばしば大梗塞になる
心原性脳塞栓 弁膜症
心筋梗塞
心房細動
急激に発症し大塞栓となり予後不良のことが多い
※そのほか一過性脳虚血発作,高血圧性脳症,慢性脳循環不全などがある。

心臓の負担が増すと心不全が起こる

 高血圧になると,心臓に負担がかかります。そのため,心臓は大きくなって容量を増し,機能を継続しようと努めます。しかし,そのような負担が長く続くと心臓の筋肉の収縮力が失われ,血液を送り出す力が弱まってしまいます。また,同時に,心臓へ戻ってくる血 液量が減ります。このような状態がうっ血性心不全と呼ばれるものです。うっ血性心不全になると,足にむくみが出たり,肝臓が腫れたりします。また,息切れ,動悸なども現れます。ときには,肺水腫を引き起こし,呼吸困難や心臓ぜんそくの状態に陥ってしまいま す。ここにあげた病気の数々は,いずれも生命を脅かす重大なものです。それらに深く関わっているのが高血圧なのですから,決して軽んじることは出来ません。

糖尿病は予備軍も含めて1370万人

 40歳代以上の1割に糖尿病の可能性

 40歳代以上のほぼ10人に1人は病院に行けば「糖尿病」と診断される可能性が高いことになります。そして治療をうけている人が45%にとどまっていることもわかりました。 糖尿病患者は年々,確実に大幅増の傾向にあるばかりか,若年層に進んでいます。しかもこの病気は,自覚症状が出にくい,本人が病気と気づかないうちにジワジワと体をむしば み,進行して,ついには「死に至る病」となるのです。糖尿病が原因となって,脳梗塞や脳 出血,網膜症(目の病気),心筋梗塞,腎症など,より深刻な合併症が全身にでてしまいます。 糖尿病患者さんは健康な人と比べると寿命が10歳ほど短いというデーターがあります。

 糖尿病がいかに恐ろしい病気かということがわかります。人それぞれの素質は,親から受けついだ遺伝的な素因に,生まれ育った生活環境や生活習慣がプラスされて形づくられます。糖尿病もその素質になんらかのきっかけがあって発病 すると考えられています。 食生活が日本食から欧米化になり食事内容も変わり飽食時代となりました,私たちが食べ た糖質は消化され,ブドウ糖になって腸から吸収され,肝臓に送られます。 それから血液の中に入って全身に運ばれ,脳や筋肉などのエネルギー源として利用される わけです。ブドウ糖をエネルギー源となるよう巧みに調整しているのが,すい臓から分泌 される「インスリン」というホルモンです。血液中のブドウ糖の量に必要以上に高くなれば, それを下げる作用をします。しかし,インスリン作用が不足すると血液中のブドウ糖をう まく利用できなくなり血糖値が慢性的に異常に高くなってしまいます。 これが糖尿病です,原因はよくわかっていませんが何らかの原因でインスリンを出す細胞 が壊れてしまうため発病する,と考えられます。 糖尿病を治療しないで長い間放置したままでいると血糖値が高いことが原因で別の病気を 引き起こすことになります。この場合細い血管と神経がおかされることが特徴です。 代表的なものは糖尿病性網膜症,腎症,神経障害で糖尿病三大合併症と呼ばれています。

糖尿病網膜症

 成人になってからの中途失明率1位 血糖値の高い血液は粘性が高 いため,毛細血管の壁に負担をかけ,血管を詰まらせてしまうのです。そのため網膜に酸 素や栄養が不足し,眼底出血も起こります。網膜症も初期の段階では自覚症状がなく,そ れがあったときには手遅れとなります。

脳卒中

 脳の動脈が詰まって起きる脳梗塞と,血管が破れて出血する脳出血があります。糖尿病患者には脳梗塞が多く,発作が起こると急に意識を失って倒れるなど命の危険があるだけでなく,手足が麻痺してそれが長期間にわたって続いたり,言葉が出なくなったりします。

心筋梗塞

 心臓は筋肉で出来ていますが,その心筋へ血液を供給している動脈(冠動脈)の一部がつまって起こります。その前兆として起こるのが狭心症で,冠動脈の血流が一時的にとどこおり,心筋が酸素不足になるのが原因です。

 血液中の脂質が多くなる高脂血症,風邪などが原因で,肺炎などにかかりやすい感染症, 口腔内の感染よりおこる歯周病などがあります。いずれも病気の早期発因につとめるため 健康診断を受けましょう。検診結果で治療が必要であれば医師の指示にしたがって治療い たしましょう。

血液化学検査

項目意義判定区分
総コレステロール 高値により動脈硬化が進行
低値で高血圧が合併すると脳出血の危険が上昇
<150 要指導
150〜199 異常なし
200〜239 要指導
240〜 要医療
HDLコレステロール 低値により動脈硬化が進行
肥満,喫煙で低下,アルコールや運動で上昇
<35 要指導または医療
35〜39 要指導
40以上 異常なし
中性脂肪 高値により動脈硬化に影響
肥満,糖尿病,食後に上昇
<150 異常なし
150〜299 要指導
300以上 要医療
肝機能検査 GOTは心筋、肝,骨格筋,腎に高濃度に存在
GPTは肝に最も多く,腎,心筋,骨格筋に存在細胞が障害されると血液中の酵素活性が上昇
GOTは激しい運動後でも上昇
γ−GTPはアルコール性肝障害,中枢神経作用薬,糖尿病治療薬の常用者,胆石,慢性肝炎,肝がんで上昇
≪GOT≫
8〜40 異常なし
41〜50 要指導
51以上 要医療
≪GPT≫
5〜35異常なし
36〜45要指導
46〜要医療
≪γ−GTP≫
60未満 異常なし
60〜99要指導
100以上 要医療
腎機能検査 クレアチニン最終代謝産物,糸球体濾過量が正常の50〜60%以下にならないと異常があっても上昇しない 1.1未満 異常なし
1.3以上 要医療
糖尿病検査 血糖およびヘモグロビンAlcにより判定する
遺伝的素因,口渇,多飲,多尿等の症状を確認無症状のこともある
110未満 異常なし
110〜140でAlc
貧血検査 赤血球数,血色素量,ヘマトクリット,
色素濃度から判定
 
血圧 最大血圧〜139
最小血圧〜89
 
検尿 蛋白(−),糖(−)  

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